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コンテクスト・クリエイションとは?①「孤独のグルメ」が生んだコンテクストの転換

2019.01.30

コンテクスト・ クリエイションとは?① 「孤独のグルメ」 が生んだ コンテクストの 転換

例えばあなたが空腹で、ランチに何かを食べたいと思う時。
「何を食べようか」と考えるでしょう。
その「何を」の中にはたくさんの選択肢があるはずです。
今日の僕はお昼にこんなことを考えました。

孤食時代の人を動かすコンテクストとは?

「次の打ち合わせまで1時間。移動に30分かかるから、30分で済ませられるものにしよう」「糖質制限ダイエット中だから、できればカレーライスや丼もの、ラーメンなど糖質の多いものは避けたい」「今いる場所(築地)はあまり詳しくないので、駅に向かう途中でお店を見つけよう」「暑いからアイスコーヒーも飲みたいな」

でもなかなかお店は見つかりません。
やたらに多い鮨店は外国人観光客向けで値段も高いし糖質が多いので選びません。
でもそのほかには蕎麦店、ラーメン店、カレー店……糖質メインの食事ばかりです。
困った私の目にコンビニが飛び込んできました。イートイン用の席もあります。
「焼き鳥とサラダでも買って、アイスコーヒーを飲もう」
そう思ってお店に入ろうとしたら、イートインコーナーに座っている人たちの様子がみんなどんよりしていることに気づきました。
全員がスマホを見ながらつまらなそうに何かを食べているのです。
私はふと立ち止まって考えてしまいました。
「なぜコンビニで食事をしている人は、みんな不幸そうに見えるのだろう」

ひとりの食事=孤食というものは、実際さみしいものです。
でも日中は多くの働く人が、孤食をしています。
その孤食に光を当てたコンテンツがあります。
松重豊さんが主演のドラマ『孤独のグルメ』(テレビ東京)です。
このドラマでは孤食にポジティブな意味づけをしています。
たったひとりの食事こそ、誰にも邪魔されない自由な時間なのだと。
コミックの方は谷口ジローさんの素晴らしい作画で、主人公・ゴローの内面がより強く描かれていますから、ぜひ読んでみてください。

『孤独のグルメ』が生み出したものは、たったひとりの食事をさみしいものから楽しくてかっこいいものへ変える、文脈(コンテクスト)の転換でした。
このコンテクストがコンビニにまで及んだら、コンビニ食もポジティブな意味合いに転換できるのに。私はイートインコーナーを見ながら、そんなことを考えていました。

私が生み出した美魔女も同じです。
美魔女が生まれる前まで中年の女性たちを指し示す言葉は「熟女」しかありませんでした。
年を取ることは女性にとってマイナスの意味でしかなかったのです。
そこに私は「美魔女」という言葉を与え、テレビなどで一般化することで、中年の女性たちの美しさを認知させて広めることに成功しました。
今や美魔女という言葉は一過性の流行語ではなく、一般名詞になりつつあります。
美魔女というコンテンツが生み出したものは、年を取っても若さや美しさもあきらめなくていいというコンテクストの転換でした。

コンテンツを生み出すことで、コンテクストを変えること。
そのことを私は「コンテクスト・クリエイション」と呼んでいます。
編が目指すコンテクスト・クリエイションについて、語っていきます。