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【連載コラム】アニ山本のマーケティング雑記帳③プラットフォーマー見参!地球を征服するためにやって来た!

2022.05.27

【連載コラム】 アニ山本の マーケティング 雑記帳③ プラットフォーマー見参! 地球を 征服するために やって来た!

5歳の男の子にプラットフォーマーについて聞くと、「知ってるよ。合体すると強くなるんだよ」と答えるであろう。63歳のおっさんに聞くと、「上野発の夜行列車~降りた時から~」などと、口ずさむであろう。
どちらも間違っていますね。プラットフォーマーとはGAFAMNT(ガハムント)なのだ。Google, Apple, Facebook, Amazon, に最近はMicrosoft, Netflix, Tesla を加えて言うらしいのです。確かに地球を征服している企業もありますね。

21世紀の第4次産業革命は、このプラットフォーマーというビジネスモデルの発明が最大のものではないかと、アニ山本は思うのです。プラットフォームとは英語で書くとplatform 、実は私はこの間まで、form じゃなくてhome だと思っていました。(ああ、恥ずかしい。でも駅のホームっていいますよねえ。)
特徴としては、需要側と供給側、双方が使用するシステムであること。そして、両者のデータが蓄積されることです。このデータが宝の山で、プラットフォーマーのビジネスを有利にしています。例えばAmazon では、個々の顧客の傾向を瞬時に把握して、おすすめをしてくるのですが、これには相当高度なデータ解析がなされているのですね。だって、あなたの好みに合った、それでいて売れ筋の商品を巧みに進めてきますよね。まるで、商店街の八百屋さんの気さくなおばちゃんのようです。
「今日は大根が安いよ。隣の魚屋でいいブリがあるから、ブリ大根なんかどうだい?」
そのAmazonのせい(だけじゃないけど)で、商店街はシャッター街になってしまいましたけれど。

第2の特徴は急速に巨大化したことです。これはネットワーク効果といって、特定のプラットフォームの利用者が増えれば増えるほど、インフラとしての利用価値が高まるからですね。故に、独占と寡占が生じます。
第3の特徴は、成功したプラットフォームは人間の欲求や生活行動の基本的な部分をしっかりつかんでいる、と言う事です。
Googleは、知識欲という大脳皮質が肥大化したホモサピエンスの欲求に、検索エンジンという大発明で応えました。これがない時代は、図書館や古本屋で調べて(それはそれで楽しい時間でしたが)、知ってそうな人に聞いたりしていたのですね。時間と手間がかかりました。
Appleはスマホを発明しちゃいましたが、これは何でもできる魔法の機械です。電子辞書とか、デジカメとか、スマホの出現で大打撃を受けた商品はたくさんありますね。2歳の孫娘は、もう「チュマホ見る」と言っています。あ~可愛い。

Facebookは、承認欲求という人間の面倒な部分を上手に具現化しました。弟のユキ山本なんか、よく美味しそうなランチの写真を上げていますが、そこには、ちょっと自慢したい人間の自己顕示欲があって、それを、いいね!する事で満たされる、と言う仕組みですね。私はユキ山本がいつもそんなお洒落ランチばかりではないと、知っています。わりと牛丼率の高い食生活であることを知っています。
Amazonはあなたの商店街になってしまいました。この企業もとんでもなくて、どんな商品も最適の価格で最速で届けるために、巨大なデータセンターや物流センター、最新の配送ロボットなどを、世界中に展開しています。世界一のDX企業であるためには、実はリアルな設備や装置が一番必要なのです。
Microsoftは、ビジネスのスタンダードプラットフォームを、Netflixはコンテンツ配信のスタンダードを取ろうとしていますが、私が正直、怖いなと思うのはTeslaです。この企業は企業ミッションに「人類を救う」と掲げていて、それを本気で実現しようとしている集団です。テスラって、電気自動車でしょ、性能も上がってきたみたいだよね、と言う認識のあなた、それではまた競争に負けてしまいますよ。
Teslaは二つのプラットフォームで覇権を取ろうとしています。ひとつは、太陽光発電やリチウム電池、充電ステーションを含めた電気エネルギー全体のエコシステムでの覇権。もう一つは、言わずと知れた自動運転プラットフォームです。特に後者は、あらゆる自動車メーカーやGoogleなどが鎬を削っていますが、Teslaは自らが世界中に販売した電気自動車の走行データを集めて解析し、自動運転のプラットフォームを握ろうとしています。

彼らは、あなたという人間の中身を徹底的に分析します。あなたが、何に関心を持ち、どのようなコンテンツに惹かれ、どこへ行き、どのような行動をするのか、あなたは、丸裸にされているわけです。

であるならば、広告などのコンテンツクリエイティブにおいても、人間の本質的欲求をつかまえる事、を目指すべきなのです。人間存在に対する深い洞察が何より必要なのです。マーケティングは、消費と言う行動を通じて人間を理解する方法です。データの背後にあるはずの人間を、どう見つけていくか、が現代のクリエイティブに求められている資質なのです。
ABテストの結果でああだとか、競合他社がこうしているから、(対抗して、あるいは、追随して)こうだとか、社内説得がしやすいクリエイティブでは、ダメです。あなたのブランドは、人々とどのようにつながっているのか、その有様をしっかりと理解することから始めましょう。

駅のホームを舞台にしたTVCMというと、やっぱりJR東海のクリスマスエクスプレスですよね。山下達郎の音楽もいいのですが、新人だった頃の深津絵里が出てた、って知ってました。可愛いですよ。Youtube貼っておきますね。
https://www.youtube.com/watch?v=iUmTrRV1jyw

アニ山本(山本一樹)
1982年東京大学文学部美術史学科卒。 株式会社電通へ入社。以来40年にわたって、マーケティング局、クリエイティブ局、営業局と立場を変えながら、マーケティングコミュニケーションの最前線で実践経験を積む。2008年電通タイランドCOO就任。リーマンショック後のダメージから業績を急回復させる。2017年、電通クリエイティブX副社長執行役員として、経営改革を実行。DX戦略の一環として、デジタル時代の新たなクリエイティブ体験を創造する”DENTSU CRAFT TOKYO” を設立。同ユニットはカンヌライオンズで2度の受賞を早くも達成。2021年より株式会社編へ参画。2022年、事業構想大学院大学客員教授。
マーケティングテクノロジーへの過度の依存はクリエイティブコンテンツの退化を招いているのではないかと、危惧する日々でもある